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2021年3月28日 耐震

Wallstatのすすめ

木造住宅(在来軸組工法)を設計する場合、柱・梁・筋交い・耐力面材といった構造要素について
① 総量が確保できているか。
② バランスよく配置できているか。
③ 上下階のつながりはよいか。
この3点について考えていきます。

計画中は常に間取りが変わりますし、建具の形状や位置も当然変化します。私の場合は、【ホームズ君『構造EX』:(株)インテグラル】という構造ソフトを活用しています。構造データを入力しながら上記の3点について随時確認しながら設計をすすめています。木造建築の場合、意匠設計と構造設計のどちらも自分自身で設計しています。
地震に強い木造住宅をつくる場合、どのくらいの壁量をどのように配置すればいいのか。実はここが一番の難題です。建築基準法に定められている構造の基準を満足する。これは合法的な建物をつくるという意味で、最低限守らなければならない条件になります。しかし、建築基準法の考え方は
① 中規模(震度5強程度)ではほとんど損傷しないこと
② 大規模(震度6強程度)では損傷しても倒壊せず人命を守ること。
で成り立っています。最近では熊本地震が震度7を記録しました。建築基準法の最低基準だけを守っても震度7では歯が立ちません。震度6強でも壊れない家ができるわけではありません。

また、住宅の性能を具体的に表示する『住宅性能表示制度』というものがあります。住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづき定められている制度です。これにより耐震性能を等級化しています。
耐震等級①:建築基準法の性能
耐震等級②:建築基準法*1.25倍の耐震性能
耐震等級③:建築基準法*1.5倍の耐震性能
上記3つの等級が設けられています。耐震等級①だと震度6強以上の地震だと心配になります。耐震等級②あるいは耐震等級③をとった住宅だと安心感は得られるのですが、大きい地震に被災した時に、具体的にどのくらいの被害を受けることになるのか。と問われても、正直なところ上手く回答することができません。

これをわかりやすく『見える化』してくれるのがWallstatなんです。
Wallstatというのは、木造軸組工法の住宅をパソコン上で実際に揺らしてみて、被害が出るのかどうか動画で確認できる木造住宅倒壊解析ソフトウェアです。実際に木造住宅を振動台上で揺らして行う倒壊実験をパソコン上で行うものです。開発者は京都大学生存圏研究所生活圏構造機能分野准教授の中川貴文さんです。このような素晴らしいソフトウェアを開発してくださったことに感謝いたします。
私が使っている構造ゾフト『構造EX』もオプション対応ですが、Wallstatとの連携ができるようになっています。もちろん、私はWallstatオプションを導入いたしました。すでに実際に実務でも使い始めています。設計している住宅の耐震性能を的確に把握することができるので本当に助かっています。胸を張って地震が来ても大丈夫です。と言えるのはありがたいです。(当然ながら、それでも想定外のケースはありえます。こればかりは致し方ありません。)住宅設計をされている方には是非とも使っていただきたいソフトです。(URL:http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/~nakagawa/)
次回から私のWallstatを使った耐震シミュレーションの実例を紹介していきます。

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